2004年12月

聖夜に降る金色の粉雪…(2)

カミエルのドーン・コーラスをお読みいただいている皆さま!
Merry Christmas!☆⌒(*^∇゜)v です。

(昨日の続きです…)

時は9月…
ボクは、あの夏の日、星に願いをかけたことを思い出していました。
今年のクリスマスは、もしかしたら?もしかしたら?
この流れに、ボクの期待は否応なしに高まっていきました。

幸いにも?ボクは、お茶会の時に、彼女の友人の一人に、
どうやらボクが彼女に気があることを悟られてしまいました。
 
だって、彼女を見る目が違いましたらね、勘の良い女性なら
気づいてもおかしくないとは思いますが…
 
ええ、ええ、ボクは器用に隠せないんですよ、こういうの(笑)
 
なぜか、女性ってすぐわかるんですよねぇ、不思議だよなぁ。
ていうか、あんな事があったら、イヤでも意識するでしょ!
って感じですよねぇ。ねえ?
 
そこで、その友人が仲をとりもってくれて、その1ヶ月後には、
ボクは彼女に告ります(はやっ)
 
そして、一応?OKをもらってしまいました。
 
彼女は、まだこの時点では、まあ、お友達程度からはじめましょう
という感じだったそうです。
 
OH!意識のギャップありすぎ!ていうか、ボクが先走りしすぎ(爆)
 
なんだか、男ってどうしてこうなんでしょうかねぇ…あ、ボクだけ?
自分は特にですけど、後先考えないで突っ走る傾向があるんですよ。
先走りすぎて退かれるタイプですわ!(笑)
よくいるでしょこういうヤツ。恋愛のかけひきとか出来ないヤツ(^_^;
 
でも、あの時の不思議体験があったものだから、これは絶対
いけるんじゃないかぁーと自分勝手に盛り上がっていたのです。
 

それで案の定、退かれました…(笑)
 

そりゃ、そうですよね。だってそんなこと彼女知らないし、彼女の
気持ちを無視して突っ走っちゃったわけですから…トホホ…
 
たしか、11月の後半だったと思いますが、ボクはかなりヘコんで
ちょっと反省モードに入りました。
 
「そうだよなぁ、やっぱりオレの思いこみだったのかもなぁ…
 考えてみればあの声だって、単に自分の願望だったのかも知れないし、
 自分が一方的に彼女に気持ち押しつけてたんだ、悪いことしたなぁ」
 
そこで、あることがボクの脳裏をかすめます…
 
「あ、そういえば、来月はクリスマスがあるじゃんか、あーあ、
 この調子じゃ、今年のクリスマスもまた一人っきりかぁ…」
 
ボクは深い落胆とともに、自分の気持ちを整理しようと必死でした。
そして3日間考えた末、ある結論を出しました。
 
「よし、彼女に会えないのはめっちゃ寂しいけど、もう自分からは連絡を
 するのはやめよう。これからは彼女の気持ちをもっと大切にして、長い目
 で彼女と向き合っていけばいいんだ。少し時間をおいて、彼女の気持ち
 に任せよう。もし、それで縁がなかったら、潔く諦めよう」
 
気持ちが吹っ切れたボクは、もうクリスマスのことはどうでも
よくなっていました。
 
それより自分をもっと磨いて、彼女に相応しい男になっておかなくちゃ
という思いが強くなっていきました。
 
そうこうして毎日が過ぎていった12月の初旬のある日、突然電話の
ベルが鳴りました。(ボクは当時一人暮らしをしていました)
 
「もしもし」
 
「あ、カミエルさんですか?」
 
(おおぉぉー、か、か、彼女だぁー)
 
「あ、ど、どうも…」
 
「明日って、お時間あります?」
 
「はい、はい、お時間あります!(なくてもつくるよ!)」
 
「あのー、よろしければ一緒にお出かけませんか?」
 
「はい、はい、一緒にお出かけします!(死んでも出かけます)」
 
ちょっとビックリして、お得意のキョドりモード全開になりました。
 
「それでは、また明日…」
 
ガチャン、プープープー…
 
電話が切れたあと、しばらくその音を聞いてボーっとしていました。
 
そして次の瞬間 「おおおおおおっっしゃぁぁぁーーー」と
 
ガッツポーズをとったのはいうまでもありません。
 
めっちゃ嬉しかったです。初めて彼女から電話してきてくれたんですから!

そしてその翌日から、またもや不思議な出来事が起こりはじめます。
 
彼女と会って、一緒に電車に乗っている時でした。
 
なにやら、彼女の顔にキラキラと光るものが見えます。
 
なんだろう?と思って見ていると、微かに金色の粒状のものが…
 
化粧に使うラメでもつけてるのかな?と思いましたが、それにしては
粒が大きすぎます。
 
不思議に思って彼女に「ねえ、今日ってラメつけてるの?」と聞きました。
 
「え?つけてないですよ。どうして?」
 
たしかに、彼女はそんな派手なお化粧をする人ではありませんでした。
 
「だって、ほら、キラキラ光るものがいっぱい顔についてるよ」
 
と、ボクはそのちいさな金の粉をすっと取って彼女に見せました。
 
「ええー、なにこれ?」彼女も不思議そうに見ています。
 
すると、彼女が「ああっ」といいました。
 
「なにこれ、手にもたくさんついてる!」
 
手のひらや甲にも金の粉が…彼女が腕をめくってみると、めくった腕の
ところにも大小無数の金粉がついていました。
 
その時は、きっと服かなにかに付いていたものが剥がれて付いたのかな?
というふうに思っていました。
 
しかし、その時からです。2人の仲が急接近してきたのは。
 
なぜか、その後も2人で会っている時には、必ずこの金粉が彼女に
現れたのです。さらに不思議ですが、しばらく経つとその金粉が
いつのまにか小さく消えていってしまうのです。
 
そして、ある日彼女と電話をしている時、「あ、また出たぁー」と
いって電話口で彼女が叫んでいます。
 
マジで?なにこれ?何の意味があるの?
 
さすがにこれにはボクもビックリしてしまいました。
後から彼女に聞いたのですが、どうやらこの現象が現れてから、
彼女の気持ちが少しずつ変わっていったそうです。
『この人とは、なにかあるんじゃないかな』と思い始めたそうです。

そして、運命のクリスマスの日が近づいてきました。
 
「一緒にクリスマスを過ごさない?」
 
勇気を持って、ボクは彼女に言いました。
 
「はい…」
 
と、彼女は応えてくれました。
 
『だぁぁぁーー、やったよぉー、やっぱ星に願いをかけて良かったぁー
 お星様ぁーありがとぉーーーー!!』
 
めっちゃ舞い上がったのはいうまでもありません。
 
そして実は、ボクにはもう一つ夢があったのです。
 
クリスマスの日に、好きな人と「素晴らしき哉、人生」という映画を
一緒に観ること。(白黒でかなり古い映画ですが名作ですよ)
 
その年のクリスマスイブの日、とうとうその夢は叶いました!
 
おおー、長い間耐え忍んできたことが、やっと報われたよぉー。
 
そしてその日も、あの金粉が彼女に舞い降りました。
 
それはボクにとっては、聖夜に降る金色の粉雪でした。
 
ホワイトクリスマスじゃなくて、ゴールドクリスマスですよ!
なーんてゴージャス!(笑)
 
その時、彼女が本当に幸せの天使に見えたのでした。
 
彼女もその頃には「確信」に変わっていたといいます。
『この人と、わたし結婚するのかもしれない…』

そして年が明けて間もなく、2人で夜景を観にドライブに行った時に、
ボクたちは、結婚することを決めたのです。
 
すると、不思議ですが、それまで会うたびに降っていた金の粉は
結婚を決めたその日以来、パッタリと出なくなったのです。

本当にウソのような本当の話です。
 
世の中には不思議なことがたくさんあるんだなー、と感じます。
 
それからボクは、世の中には常識では説明ができないようなことが
たくさんあるんだということに興味を持ちました。
 
この世界って、もしかしたら、みんなが気づかないだけで、
「奇跡」って日常的に起きてるのかもしれませんよね。
 
それに気づくか、気づかないか…
 
日常のなかの奇跡は、あなたのすぐ近くで、今この瞬間にも、
起っているかも知れませんよ。
 
Camiel
映画「素晴らしき哉、人生」は本&CD&DVD紹介コーナーにあります。
これ、ぜったいお薦めですよー。

聖夜に降る金色の粉雪…(1)

カミエルのドーン・コーラスおよび、
バンド男誕生秘話をお読みいただいている皆さま!

Merry Christmas Eve!でございます。☆⌒(*^-°)v

つたない話をお読み頂き、本当にありがとうございます。
なんとなく書き始めたものですが、みなさまに支えられて
15歳の少年は少しずつ成長していっています。
その道のりは山あり谷ありですが、どうぞこれからもよろしく
お願いいたします。

さて、クリスマスということで、本日は少し趣向を変えて、
この少年が大人になり、24歳のクリスマスを迎えたときの事を
お話しをしようと思います。

以前の日記「この世で一番の奇跡」の続編となります。

http://camiel.livedoor.biz/archives/9865947.html

時は90年代のはじめ・・・

この年は、ボクにとって生涯忘れることのできない年となりました。

ちょうど、その年の初旬の頃は、自分自身けっこういろんな事が
あって、ボクはちょっとヘコんでいたのです。

年末に以前組んでいたバンドのメンバーと共に某プロダクションの
オーディションを受け、晴れて全員採用となり、新たなプロジェクト
を始動する準備をしていた時に、ボクはとある事情でそのプロジェ
クトから抜けなくてはいけなくなったのです。
(別に悪いことしたわけではないですよ)
代わりのドラムを探してきて、彼にそのメンバーになってもらい、
自分は、主にスタジオのレコード製作の現場でドラムの録音や
ドラムマシンでの打ち込みなどを担当していました。
その後、知り合いからの紹介で、某音楽院でドラムとアンサンブル
の講師もしていたのです。

時はバブルがはじけた時期でしたが、まだ深刻な経済不況は
訪れていませんでしたので、けっこうアイドルのバックバン
ドの連続ツアーなどに参加すると、かなり良い収入にはなり
ました。

春になり、落ち込んでいた気分もだんだんと晴れやかになって、
なんだかとてもワクワクした感覚に包まれることが多くなりました。

なにか新しいことが始まるような、そんな感じでした。

そして、その年の夏にバックバンドのツアーに参加して地方に
行った時のことです。

天気が良くて、夜は星がキレイだったので、一人で星を見に散歩に
出かけたのです。天の川がよく見える最高の星空でした。

その時に流れ星をたくさん見たのですが、流れ星といえば、

そう!「願い事」ですよね。

そこで、ボクは流れ星に願い事をしたのです。

どんな願い事かというと…

「今年のクリスマスは一人はイヤです・・・(笑)
 好きな人と一緒に過ごせますように」

まだ、季節は夏なのに?


ええ、そうです、そうですとも、切実なのですよ!

ボクはそれまで、クリスマスの日に恋人と呼べる人と
一度も一緒に過ごしたことがないのですから!

残念ー!(ちと、古い)


あ、ここで断っておきますが、一応以前も彼女はいたんですよ。
でも、なぜかクリスマスの日には、その前に別れてしまったりで、
一度も恋人とメリークリスマス!なーんてことを味わった事が
なかったのです。(涙)

しかも、いつもその日は一人で家にいたりすることが多く、
なんともさびしいクリスマスばかりを過ごしてきたのです。

クリスマスイブに、ほんとは見たくないけど明石家さんまの
特番をついつい見てしまうこの悲しさよ!

「くそー、今年こそは、今年こそはぁーーーお星様ぁぁー」

と、真夏に一人で星に願いをかけている、さびしい男がひとり…

なんだか、やってること15歳と変わらないぞ…ってツッコまないで!


そして夏が過ぎ去り、残暑まだ残る9月・・・

ボクは、ある人と運命の出会いをするのです。

そのある人とは・・・

 

…いや、すいません奥さんなんですけど。(笑)

 

彼女はある公演の受付嬢をしていました。
(いわゆる受付天使ってやつですか)


はじめて彼女を見た瞬間!

ボクの目はしばらく彼女に釘付けになってしまいました。

よく電撃が走る!とか、ビビビっときた!って言いますよね。

あれ、本当によくわかります。

彼女はけっして派手な感じではありませんでしたが、
とても清楚で聡明な雰囲気があり、
それでいて芯の強そうな、美しい女性でした。(照)


そして、次の瞬間

「あ、オレ、この人と結婚するんだ!」と思いました。

思った…というよりも言われたという感じに近いかなぁ。

言われたって誰に?とツッコまれると困るのですが…

うーん、誰なんだろう?

でも、明らかに自分以外の誰かにそう言われた感じがしたのです。

声というよりは、胸の中から話しかけられるという感じでした。


そして公演が終わって、ボクがそのまま帰ろうとエレベーターに
乗ろうとした時、なんと、こともあろうに、

「まって!彼女に声をかけなさい!」って言うんですよ、その誰かが(笑)

あまりに突然だったので、ボクはそのままその階のトイレに駆け込み、

そこで、この「誰か」と「自分」が、なんとも奇妙な押し問答を
始めたのです。

ボク『おいおい、はじめて会った人にいきなり声かけたらヤバいだろう!
   ぜったい怪しいヤツと思われるぞ。
   それにオレ、ナンパなんてしたことないし、第一自信がないよ』

誰か『大丈夫です、今日声をかけなければきっと後悔しますよ』

ボク『な、なんだよ、その知ったような言い方は?いったいあんたは
   何者なんだ!』

誰か『そんなことはどうでもいいから、勇気を持って話しかけてみなさい』

ボク『いや、ムリムリ、絶対無理っす!
   たしかに彼女は素敵な人だったよ。うん。
   でも、ちょっと年上っぽいし、緊張するし、
   やっぱ、いくらなんでも無理っすよ』

誰か『いいから、言うとおりにして下さい』

ボク『はあ?何いってんだよ。あんた何様?カッパ何様?(笑)
   だいたい彼女がどこにいるのかわからないじゃないか!
   今から探したって、もうきっといないよ』

誰か『・・・・・・・』

ボク『おい、なんとか言えよ!』

誰か『・・・・・・・』

急に、その声が沈黙してしまいました・・・

トイレの中で、わけのわからない会話をしている自分。

これ、客観的にみたらぜったい怪しいって!

というか、一歩間違えたらヤバいって(笑)

『ああ、やっぱり、これって自分の彼女欲しい願望のシャドウ
 なのかも知れないよなぁ…やばいやばい…
 そもそも、オレ結婚とかまだ全然興味ないしな。
 あーあ、しかし、なんだったんだろうね今のは? 』

…と、平静を取り戻したボクは、そのまま帰る決心をして
トイレから出ていきました。

そして、エレベーターに向かおうとしたその瞬間!


な、な、なんと目の前に…

彼女が…


なぜか、彼女は2人の子供に手を引っ張られながら、
エレベーターホールまで連れられてこられたようでした。

「ねぇ、ねぇ!わたしたちの保母さんになってぇー!」

「はいはい、わかったわよ、じゃあ何して遊ぼうかな?」

…という会話が聞こえてきました。

その時、ボクの中でなにかの「スイッチ」がカチッと入りました。

不思議と、さっきまで見えない誰かと問答をしていたその答が、
なぜか一瞬のうちに理解できたのです。

これは、声をかけろということなんだ!

本当にその瞬間に意識が切り替わりました。

その時、沈黙していたあの声が、

『さあ、今です、声をかけなさい!』

と再び言ってきたのです。


そこで、思い切って…

「あ、ど、どうもこんにちは!」

ボクは、勇気を出して彼女に声をかけました。

「あ、あのー今日みたいな公演はよく開催しているのですか?」

子供達に引っ張られながら、彼女は応えます。

「あら、今日来ていらいた方ですか?」

おおー良かった…とりあえず会話してくれた!

ボクはちょっと安心して、

「そ、そうです、あのー、とても素晴らしかったんで、
 ぜひまた機会があったら参加しようかなぁと思っているんですが…」

すると彼女は、

「えー、そうなんですか?あっそうだ、ちょうど良かった。
 明日なんですけど、仲間内でちょっとしたお茶会があるんですよ。
 もし、よろしかったら来ませんか?」

(げっ!逆にこっちが誘われてしまったよぉーマジでデジママジデジマ…)

「はい!いきます!」(即答・この間一秒)

「そうですかぁ、ぜひいらして下さい!
 えーと、場所はですね、○○○駅の近くの
 すかいらーくなんですけど、時間はですねぇ・・・・・・」

その間、ボクは舞い上がってしまって、彼女の顔をボーっと
見つめながら、話はほとんどうわのそらで聞いていました。
しっかり、場所と時間だけは憶えましたが…(笑)

その間の会話はホンの一瞬のようでもあり、とても長い時間が
経ったようでもあり、不思議な感覚でした。

「わ、わかりました。ぜひ参加させていただきます。
 そ、それでは、また明日…」

自分でも、なんだかキョドっていたとは思うのですが、
緊張のあまり、体がカクカクしながら、
やってきたエレベーターに乗り込みました。

そして、エレベーターの扉が閉じるまで、彼女はボクを見送って
くれました。

子供達は彼女の周りをクルクル回っています。

この子達が「天使」に見えたのは、いうまでもありません。(笑)


扉が閉まる瞬間、彼女の顔を見つめながら、かるくお辞儀をして
すぅーーっとドアが閉まりました…

『マジかよ…』

ボクはしばらく放心状態になりながら、
さっきの「誰か」に問いかけました。

『おいおい、いったいなんだったんだよ、今のは?』

すると、

『ほらね、だからいったでしょう、うまくいくって』

と、その声が応えました。

『ほらね、じゃないよ!おまえはいったい何者なんだよ』

『・・・・・・・』

『おい、なんとか言えよ』

『・・・・・・・』

それから、パッタリとその声はしなくなりました。

その帰り道、ボクの足取りがフワフワと宙に浮くようだったことは
いうまでもありません!
気持ちは、完全に宙に舞い上がっていました。


そしてその翌日、ボクは電車に乗って彼女から教わった駅まで
行こうとして、駅の改札まで来た時でした…

また、例の「誰か」がボクに声をかけてきました。

『今日は、車に乗って行った方がいいよ』

『なにー?もう駅まで来ちゃったじゃないか!
 ここから車の置いてある駐車場まで遠いんだぞ!』

また、奇妙な一人会話が始まりました(笑)

それでも、昨日の事があったので、無視することはできなかったボクは、
そこから急いで車の置いてあるところまでダッシュしました。

なぜ、車で行った方がよかったのか?

その答は、後々わかりました。

なんと、そのお茶会が終わった後、時間も遅くなったので、参加した
女性陣をボクが車で送ることになったのです。
しかも、ドラムを輸送するためにボクは1BOXのワゴン車に乗って
いたので、たくさんの人を乗せることができました。
(ありがとう!ドラム輸送車くん!)

なんの計らいか、彼女は最初後ろの席に乗ろうとしていたのですが、
おばさんに「若い人同士で、あなた前に乗りなさいよ!」と言われ、
ちょっと強引ですが、彼女が助手席に乗ったのです。

『おおぉー、おばさま、ありがとうー!』

と、ボクの心は叫んでいました。

そして、さらにお約束?通り、彼女の家が一番遠かったので、
最後は2人っきりになりました。(^_^;

初めて会ってから次の日に、すでに彼女の家まで行ってしまいました…

(ちょっと、デキすぎ君?でも、本当の事なんですよー)

時は9月・・・

ボクは、あの夏の日、流れ星に願いをかけたことを思い出していました。

今年のクリスマスは、もしかしたら?もしかしたら?

この流れに、ボクの期待は否応なしに高まっていきました。

さて、この青年(笑)は念願のハッピークリスマスを迎えることが
できるのでしょうか?

(明日のクリスマスにつづく…)

バンド男誕生秘話(4)

前回からの続きです…



先日のショックから抜け出せないまま、少年は毎日
足取りの重さを感じながら、学校に通っていました。



教室では、すでにクラスでの友人ができてはいたものの、
彼らは楽器をやっているような様子はなく、少年のバンド
メンバー探しは振り出しにもどってしまいました。


友人もでき、クラスのみんなともうち解けて仲良くなり、
それなりに楽しい高校生活が過ぎていきました。


しかし、少年の心の中には、ポッカリと穴があいたようで
何とも言えない不足感と不完全燃焼感がありました。



「はぁー、バンドやりてぇなー。ドラムなんてさ、一人でやって
 いたって何にも面白くないよ。
 ドラムはバンドがあってはじめて、その存在が生きるもんだ
 からなぁ…」



そんなある日、校内の廊下を歩いていると、後ろから元気の
いい声で、


「おおー、カミエル!ちゃんと勉強がんばっとるかぁー」


と、先日の関西弁教師、戸塚(仮名)先生が現れました。


「ああ、どうも」


少年は元気なく応えました。


「おまえ、クラブ活動はどこに入ったんや?」


「いや、まだクラブには入ってないです…」


「なんや、おまえ。おまえみたいにエネルギーがありあまっとる
 ヤツは、どっか運動部にでもはいればいいんや。
 
 ワシが顧問しておる陸上部にでも来るか、どうや?
 バンドみたいな不健康なもんに夢中になるんやったら、
 若者らしく運動して汗をかいたらいいんや」


(くっそー、ドラムだってけっこうな運動量なんだぞー。
 まったく、イメージだけで不健康とか言われても
 困るんだよなぁ…)


と、少年は思いつつも、あまり波風を立てるといけないので、


「オレ、運動部に入る気はないんです。せっかくですけど…」


そう言って、その場をやり過ごしました。



その高校は、校則によって生徒は何らかのクラブに所属しなくては
いけない事になっていました。
所属クラブを決める期間は1ヶ月間あり、その間に自分の入る
クラブを決めなくてはなりませんでした。



「あーあ、なんだか窮屈なところだよなぁ、でもどうすんだよ、
 なにかクラブに入らなきゃいけないなんて…
 うーん、ドラムが叩けるようなクラブないのかなぁ…」


と、その時少年はふと思い出しました。


「そういえば、新入生歓迎会の時に、ブラスバンド部が演奏を
 していたっけ、ドラムはあんまり上手くない先輩がやっていたな。
 そうだ、ブラバンに入れば、堂々とドラムが叩けるし、放課後も
 学校で練習ができるじゃんか!」



少年は、さっそくその日の放課後に、ブラスバンド部の見学に
向かいました。


何人かの見学生が来ているなか、少年はソワソワしながら
落ち着かない様子で、ブラバンの演奏を聴いていました。


その高校のブラスバンド部は出来てからの歴史も浅く、
少年から見ても全体的にあまり上手とは言えない状態でした。
ドラムをやっている先輩も、リズムキープがなかなかできず、
叩き方も撫でるような叩き方で、パワーが感じられません。


『おおっ、これはオレにもチャンスがあるかも知れないぞ』


少年は中学2年からはじめたドラムの腕にちょっとは自信が
あったので、ブラバンのドラムの先輩よりも自分の方が上手い
という確信がありました。


そこで、演奏中にもかかわらず、少年はブラバンの顧問の
先生のところに行き、


「すいません!ちょっとボクにドラムを叩かせてもらっても
 いいですか?」


と、訪ねました。


すると、顧問の先生は、


「ん、なに?見学の1年生か?ドラム叩けるのか、君?」


「はい、叩けます!」


自信満々で少年は答えました。


しかし…


「うーん、今日は見学だけにしておいてくれ、新入生の楽器選別は
 後々やっていくから、入部希望ならそこのノートに名前とクラスを
 書いておいて!」


『なにー?』


すっかり拍子抜けした少年は、上級生に言われるまま入部希望者
ノートに記入を求められ、渡されたペンを握って、ノートに名前を
書こうとしました。



その時、突然少年の心に、ある疑問が湧いてきたのです。



『おい、本当にそれでいいのか?
 おまえがやりたかったのは、ブラバンでドラムを叩くことか?
 おまえはコージー・パウエルのようなロックドラマーに
 なるんじゃなかったのか。
 おまえはロックバンドを組むんじゃなかったのか?』



ペンを握ったまま、しばらくその場で考え込む少年…



「君、どうしたの?」


という、ブラバンの先輩の声に、少年はハッとします。



「あ、あの、いいです。オレやっぱりやめます、すいません!」


そう言うと、少年はその場を走るように立ち去りました。



「ううっ、くっそー、オレはなんて意志が弱いんだ…
 自分が本当にやりたいことをやらないで、
 もう少しで妥協するところだった。
 そうだよ、オレが本当にやりたいのは、
 ブラスバンドじゃなく、ロックバンドのドラムなんだ!」



少年は安易に流れようとした自分自身に対する怒りと、
しかしながら、どう考えてもロックバンドを組めるような
状況ではないこの厳しい現状に、だれもいない放課後
の廊下で、ひとり悔し涙を流すのでした…



自転車で高校へ通っていた少年は、春の暖かい夕暮れの
歩道で自転車を押しながら、なにやらブツブツと祈るような
言葉を唱えながら歩いていました。


『くぅぅー、神様!ロックの神様!
 オレにロックバンドをやらせてください!
 そして、そのバンドでステージへ上がらせて下さい!』



少年の悲痛な叫びは、周りの雑踏の中に埋もれて
通りを走る車のうるさい騒音にかき消されていきました…



その晩、少年は家に帰るなり、スティックと練習用のパット
を持ち出し、近くの公園で遅くなるまで練習をしました。


『きっと、いつかチャンスがくるさ。がんばっていれば、
 きっと神様がオレにバンドをやらせてくれるさ。
 それまでは腕を磨いておくんだ。
 ぜったい周りのヤツには負けないほど、
 ドラムを上手くなっておくんだ』



少年のひたむきな願いは、ロックの神様に通じるのでしょうか…


 


翌日、少年はお昼ご飯を学食で友人たちと食べた後、
しゃべりながら1年生の教室が並ぶ廊下を歩いていました。



ちょうどD組の前を通りかかった時、D組の教室から髪の長い
かなりイケメンの生徒が、こちらに近づいてきました。


「よう!」


彼が声をかけたのは、少年の隣にいるクラスメイトでした。


「今日、どうする?」


「いや、今日部活あるから、先帰っていいよ…」


どうやら、彼らは同じ中学出身の友達のようで、
帰りに一緒に帰る相談をしているようです。


『こいつ、けっこうカッコイイじゃん、
 本田ヤスアキにそっくりじゃんかよー』


(本田ヤスアキ(字忘れた)を知ってる人っていないかも…
 当時の金八先生シリーズの、2年B組仙八先生
 という番組にシブガキ隊や三田寛子らと共演していた、
 謎の美少年役の人です。
 その後、原田知世主演のテレビドラマ「ねらわれた
 学園」で、これまた京極少年という謎の超能力者
 の役でした。ちなみに彼自身もミュージシャンだった。
  ちなみにボクは原田知世ファンだった(笑) )


そんなことを思いながら、少年は隣で彼らの話を聞いていました。



すると突然、クラスメイトの友人が彼に向かって、


「あ、そうだそうだ、おまえに紹介するよ。
 この人カミエルっていうんだけどさ、
 なんでもドラムやってるらしいんだよ。
 おまえバンドやりたいって言ってただろ?」


 


 


『は?』


 



おいおい、ちょっとまて、今なんて言った?



少年は、一瞬何が起きたのかわからなくなり、
その友人とイケメンの彼の顔を交互に見ながら
首を左右にプルプルと動かしました。


 


「ええっ?マジで!君ドラムやってんのー?」



本田ヤスアキ似の彼が少年に言いました。



少年は、湧き上がる興奮を必死に抑えながら



「き、き、君は?君は?あ、あ、あの…
 が、楽器は?楽器はなにやってるの?」


少年はかなりドモリながら聞き返しました。


イケメンの彼は、


「ああ、オレ、最近ベース始めたんだよね。
 そんでバンドやりたいなーって思ってたんだけど…」


 







キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! (お約束)


 



『おおぉぉぉー、ロックの神様ぁー、
 あなたは私を見捨ててはいなかったのですねー!』



少年は、その場で飛び跳ねたい衝動を抑えながら、


「べ、ベースやってるの?いつから?」



「うーん、自分ずっとギターやってたんだけどさぁ、先輩が
 ベース弾いてるのみて、かっこいいなって思って、
 ちょっと前にベース買ったんだよね、まだ全然うまくないけど」


 


すんげぇ、すんげぇ、すんげぇ、すんげぇ…


 


まるで、あややの「めっちゃホリディ」のように、
少年の頭には「すんげぇ」の言葉がリピートしていました。



「君は、ドラム、いつからやってるの?」



「あ、はい。あのう、一応中2からですが…」


なぜか突然、少年は敬語で返事をしていました。


頭の中がパニックになっていたようです。



「自分ら、タメなんで、別に敬語使わなくていいよ」


と、彼に言われ、ハッとした少年は、少し落ち着きを
取り戻しながら、


「あ、あのさ、君はどんな音楽聴いてるの?」



少年はドキドキしながら彼に聞きました。



すると、その彼は・・・



「銀蝿とか…」


 



「は? な、なに?」



「横浜銀蝿とか・・・」



え?


い、今なんといいました?…


「ヨコハマギンバエ」とおっしゃいましたか?



その瞬間、少年はその場で硬直して固まってしまうのを
必死でこらえていました…



『なんで、横浜銀蝿なの…
 たのむ、レインボー、マイケルシェンカー、
 いや、ツェッペリン、ディープパープルでもいい
 そう言ってくれ、たのむ、そう言ってくれぇぇー
 …ていうか、おまえビジュアル全然ちがうじゃん!』


 


言葉にならない少年の心の叫びは、
イケメンの彼に向かって何度もそう叫んでいました。



少年のロックバンドへの道は、まだ遠い・・・


(次回へづづく…)

バンド男誕生秘話(3)

前回からの続きです…


「あーあ、オレ、これからどうなんだろー」

少年は、単純にバンドメンバー獲得のための作戦を
決行しただけだと思っていたのですが、突然の状況に
不安と戸惑いを隠せませんでした…


職員室につくと、さっきのおじさん(やっぱり先生でした)が、
迷惑そうな、かったるそうな顔をして待っていました。


「えーと、それじゃ、それ持ってこっちに来て」

と、職員室の奥にある「相談室」と書かれた部屋に
ボクに入るように言いました。


「げげ…、入学早々、相談室かよー
 オレ、そんなヤバイことしたのかなぁ」

少年は、どうやら自分のやったことが、けっこう大変な
ことだったのだと、その時初めて気づきました。


相談室へ入ろうとした時、後ろの方から大きな声で、

「おおっ、こいつか?バンバンやってたヤツはー!」

と、また違った先生が少年のほうへやってきました。

「おまえ、一年か?」

「あ、はい…」

「どこのクラスや?」

「あ、B組です…」

「B組かー、あれ、担任だれやっけ?」

「青山(仮名)先生です…」

「はぁー、青山さんも大変やな、
 丙午ってウワサには聞いてたけど、
 こんなんが入ってきたんかー」

その先生は、威勢のいい口調で、なにやらわけの
わからないことを言っています。


後で気づいたことですが、どうやらボクの生まれた年が
60年に一回の丙午(ひのえうま)で、第2次ベビーブーム
成長期に極端に出生率が下がった年なのです。

その年の人口が低い分、生徒の「質」が落ちるだろうと
その高校の先生方は考えていたらしく、1年生の
担当教師は、選りすぐりの厳しい先生陣で占められて
いたのでした。


 ああ、どうりでボクが高校入れたわけだ(笑)

 

相談室に入ると、先程の先生が座っていて、後から
担任の青山先生もやってきました。

その後、またあの関西弁の先生も入ってきたり、その他に
少し年配の女の先生も登場し、一気にボクの周りには
先生だらけになってしまいました。


「おいおい、なんなんだよ、この状況は…」


少年は、いまだに状況がよくわかりません。


そして、担任の青山先生が、

「おまえなー、いったい何やらかしたんだ」

と、言ってきたので、

「いや、その、ドラムの練習を…」

「ドラムだぁ?ドラムってあの太鼓のことか?」

「そうです…」

「どこでやってたんだ!」

「中庭で…」

「中庭ぁー、なんでまた?」

「はぁ…」

その時、最初にきたあの冷淡な先生が、

「いやね、中庭で太鼓叩いてうるさいのがいると
 たまたま私のところに通報がはいったんですよ」


「え?通報?なにそれ…」

少年は、なにやら不思議な世界に迷い込んだような
錯覚にとらわれました。

すると青山先生は、

「はぁ、バカかおまえ。あんなところで叩いたらうるさいに
 きまっとるじゃないかー」

「い、いや、昼休みだし、大丈夫かな、と思って…」

少年のかぼそい説明を押し切るように、
関西弁の先生がたたみかけます。

「おまえなぁ、ここは中学ちゃうんやで、高校生に
 なったんやから、もっと自覚せなーあかんやんか」

「は、はあ…」


すると、それまで黙って聞いていた女の先生が、

「あなた、あんなところで太鼓叩いたら、他の生徒の
 迷惑になるでしょう?それくらいのことわからない?」

と、少しやわらかく話してくれたので、

「あ、いや、ボクはバンドを…、えーと、高校来たら
 あの、バンドをやろうと思っていたんで…」

少年の声には力がありません…

「バンド?…バンドってなんです?」

その年配の女の先生が他の先生に聞きました。

おいおい、バンドも知らないのかよ、と思った少年は、

「バンドは、あの、それぞれの楽器を使って、その…」

と、少年がこのおばさん先生に説明しようとしたその矢先!

「あー、バンドだぁ?、
 そんなロクでもないことをしようとしてんのかおまえは!」

担任の青山先生がいきなり怒鳴りました。

話を聞いていた、他の先生方も一様に顔をしかめました。

 

今では考えられないことかも知れませんが、

「エレキをもったら不良だ!」(笑)

みたいな風習が、まだこの高校には残っていたようです。

そして、丙午組ということもあって、先生方は何か問題を
起こしそうな生徒はいないか、とピリピリしていたのです。
まあ、いわゆる初めが肝心だということだったのでしょう。

(ああ、飛んで火に入る夏の虫、とはこのことです)

 

 ロクでもないこと…?

その先生の言葉に、少年の心は強く反応しました。

ちょっと、キレかかりながら…

「ロクでもないことじゃないですよ!!」

まだ、自制心を持たない純な少年は、バンドを貶された怒りで
担任の先生に食ってかかりました。

「なんだと、おまえ自分の状況わかってんのか!」

「バンドをやっちゃいけないんですか?」

「ばかやろう!今こうやって現に迷惑かけとるだろうが」

「なにが、迷惑なんですか!高校は昼休みに楽器の
 練習もしちゃいけないんですか!
 ボクは高校にバンドをやりにきたんです!
 バンドを組んで、学園祭に出たいんですよ。
 それで、そのメンバーをいま探しているんです」

少年は、開き直って、素直に自分がしていることの
真意を話そうとしました。

しかし…


「それが、アホたれいうとるんじゃ!高校は勉強しにくる
 ところや、楽器の練習なんぞ、やらせるかーボケぇ」

と、関西弁の先生も混じり合って、しばらく少年と先生方の
口論が続きました。


ああ、この事がいずれ少年を苦境に立たせる原因となろうとは、
その時の少年は知るよしもありませんでした…


すると、しばらく静観していたあの冷淡な先生が…

「ふー、これはとんでもない勘違い坊やだな」

と、不気味に囁きました。そして続けて、

「あのね、君。この高校はバンド活動禁止なんだよ。
 ちゃんと校則にも載ってるでしょう。
 だから、そんなことをしても無駄だよ…
 それに、学園祭には審査があってね、あんなガチャガチャ
 うるさいバンドなんて、まず出ることはできないだろうね」


「え?」


「・・・・・」


しばらく絶句した少年は、


「え?…いまなんと?」


すると、あきれた顔で、その先生は、

「ここはね、バンドなんかやれるところじゃないんだよ。
 学園祭でもいままでバンドなんか出たこともないんだから。
 というより、先生方がみんなそんなことさせないよ」


「は、はぁ?…」


少年は、あまりのショックで、しばらく何も言えませんでした…


しばらくの沈黙のあと、

「どうしましょう?一応、この楽器は、しばらく私が
 預かっておきましょうか」

と、担任の青山先生が、そんなことを言い出しました。


な、なにー!

少年は、それだけは勘弁してくれ!といわんばかりに

「いや、だめです、えー、あ、これ、あの、借り物なんです!
 すいません、ちょっと、だから、だめです…」

と、かなりキョドりながら、みえみえのウソをついて楽器を
返してもらおうとしました。


すると、先程の年配の女先生が、

「まあ、もう5時限の授業も始まってますし、とりあえず
 今回は初回ですし、本人もわからなかったということで
 楽器の没収はしなくてもいいんじゃありませんか」

と、いってくれたので、間一髪、楽器没収は見送られました。

地獄に仏 パート2!


「そんじゃ、今回だけだぞ、今度持ってきたら即没収だからな」


とりあえず、最悪の楽器没収だけは避けられたので、
少年は少し安心し、なんとかこの場が穏便にいくように
願っていました。


「まあ、今日のところはもういいでしょう。彼も悪気は
 ないようですし、あなた、今後は気をつけてね」

と、女の先生がうまくその場を取り繕ってくれ、
なんとか話は終わりました。

あの関西弁の先生が最後に、

「もうアホなことすんなよ、高校生らしくちゃんと勉強せぃー」

と、少年にいい放ちました。


「・・・・・」


相談室をあとにした少年は、楽器を抱えてトボトボと廊下を
歩きながら、先程の話を思い出していました…


「なんてこった!オレはなんていう高校に来てしまったんだぁ。
 バンド禁止だとー、おまけに学園祭にも出れないだとー。
 おいおい、高校にいったら、思いっきりバンドできるんじゃ
 なかったのか?こんなんじゃ中学より悪いじゃないか!
 そんなたいして頭のいい高校じゃないのに、なんでそんなに
 厳しい校則つくってんだよー」

少年の入った高校は、バンド活動をはじめ、髪型や服装
その他の規則にとてもうるさい高校だったのです。


早くも、ロックバンド結成&コージー・パウエル計画が暗礁に
乗り上げてしまった少年は、深い絶望感に苛まれました。

 

「よーし、ロックバンドを組むぞ。

 バンドを組むのに手っ取り早いのは、高校に行くんだ。

 高校には、いろんなヤツがやってくるにちがいない!
 
 もちろんオイラがドラムをやるのさ。
 
 そう、コージー・パウエルのようなドラマーになるんだ!」


その念い一つで、苦手な勉強をして晴れて高校生になった
少年には、その状況はあまりにも厳しいものとなりました。

ましてや、思わぬところで前科を作ってしまった少年は
先生方の要注意ブラックリストに載ってしまったのです。

 

ああ、この先、失意の少年に光はあるのでしょうか…


(次回につづく…)

バンド男誕生秘話(2)

…前回の続きです。


目をつぶって、陶酔している少年の肩を、後ろから
「トン、トン」と誰かがたたきました。

「おおっ、きたのか? えぇー、もうきたのか?
 早くもオレの作戦効果アリかぁー」

ほんの一瞬のうちでしたが、ボクの頭にはいろんなことが
駆け巡りました。


ギターか?(^v^)


ベースか?(^u^)


キーボードか?(´ー`)


ええー、もしかして一番難しいと思っていたボーカルかぁー?


 o(^o^o)o(^o^)o(o^o^)o イエーイ ←少年の頭の中


少年は、期待と不安に胸をときめかせて目をあけ、
後ろを振り返りました。


 さあ、バンドマン、いらっしゃ〜〜い!


  (^(^(^(^(^(^^;)

 

その時、少年の前に立っていたのは…

 

 


(・.・;)あれ?

 


「ん?…だれ…このおっさん?」


少年の前には、見たことのないおじさんが立っていました。


???…(’_’、)


少年がキョトンとした目で見上げていると、

そのおじさんは、おもむろに少年にむかって、

「君、クラスと名前は?」

と、聞いてきました。

「げっ!」

少年は、そのおじさんが、きっとタダのおじさんではない
ということを、状況から察しました。

「えー、あ、あの、1年B組のカミエルです…」

「うーん、とりあえずそれ全部もって、
 ちょっと職員室にきてくれる」

その人は、まるで氷のような冷たい表情で一言告げると、

ツカツカと先に行ってしましました。

一瞬の出来事で、その状況がいまいち理解できなかった
少年ですが、その人がおそらく「先生」であろうということは
なんとなくわかりました。


急いで、楽器をケースの中にしまい込んでいるその時…

ちょうど、教室の上の方から見ていた上級生の男子生徒が、

「うるせぇーんだよ、ばーか!」

と、少年に向かって罵声を浴びせてきました。

「ははは…、だっせぇ、怒られてやんのー」

他にいた上級生たちも、口々にいってきます。


その声に、少年はショックを受けました…


「うう…別に、オレはバンドのメンバーを
 探したいだけだったんだよぉー。
 くっそー、せっかくいい考えだと思ったのになぁ…」


かなりヘコんだ少年は、トボトボと楽器を持って
中庭を歩いていきました。

「やっべー、オレこれから怒られるのかなぁ、
 まあ、たしかにかなりうるさかったからなぁ」

先ほどの勢いはどこへやら、一気に少年の気持ちは
不安で一杯になりました。


すると、罵声が聞こえていた隣の教室から女子生徒の声で

「おーい、きみー。がんばりなー」

という声が聞こえました。

え? と、少年が見上げると…

「なかなかうまかったよー、またきかせてねー」

と、手を振って何人かの女子生徒の集団が声をかけてくれました。


地獄に仏とはこのことです…

「おぉ、なんてやさしいんだぁー」

少年はその言葉に、少し救われた気持ちがしました。


一方では罵声、一方では応援…


少年はなんとも複雑な気持ちと、ひきつった笑顔で、ちょこっと
その人たちに頭をさげると、あの冷ややかな表情の先生が待つ
職員室へと向かっていきました。

「あーあ、オレ、これからどうなんだろー」

少年は、単純にバンドメンバー獲得のための作戦を
決行しただけだと思っていたのですが、突然の状況に
戸惑いを隠せませんでした。


果たしてこの先、少年の運命は?…


(次回へつづく…)

バンド男誕生秘話(1)

(すいません、一連の題名変えてみました。(笑)
 流行にあやかろうというセコイ考えです…(^_^; )

 …さて、前回からの続きです。

ようし、ほんなら明日はこの戦法で、必ずメンバーゲットしたるでぇ!

グズグズしているヒマはないんや、わいは高校にバンドやりに
いっとんねんで!

…と、なぜか関西弁の口調に変わった少年は、明日への決意と
情熱の激しさで、その晩はよく眠れませんでした。

さて、その翌日、少年の取った行動とは…

「やっぱ、あれだよ。オレがドラムやってるってことを、
 みんなに知ってもらわないと始まらないよな。
 同じクラスにはいないのかも知れないから、
 他のクラスのヤツに知ってもらわないといけないもんな。」

一応、初日のクラスの自己紹介の時には、自分がドラムを
やっているということ、バンドを組みたいと思っていることを
クラスメイトには話してはいたのですが、これといって何も
反応がなかったのです。

その日、少年は朝早くからなにやら準備をし始めます。

「ちょっと、大がかりだけど、まあ、いいか…」

少年は、なんと学校にスネアドラムとスネアスタンドを持ち込む
ことにしたのです。

(注:スネアドラムとは太鼓の反対側にジャラジャラした
 スナッピーと呼ばれる弦が張ってある、ドラムの中心的な
 太鼓です、ドン、パン、ドン、パンの”パン”の方です)

「へっへっへ…我ながらいいアイデアだよ。これ叩きゃあさ、
 みんなイヤでも注目するだろうしね。
 名付けて、”バンドマンいらっしゃ〜い”作戦!」

少年は、どうやら休み時間を利用して、自分をアピールするため
にスネアドラムを叩くデモンストレーションをする気のようです。

(ああ、今の私なら絶対止めますよー、若いって怖いっすねー)

ちょっと、大がかりな荷物をもって登校した少年は、周りの
人から特異な目で見られながらも、なんとか楽器を運ぶことに
成功しました。
楽器が大き過ぎて、ロッカーに入らないため、しかたなく教室の
掃除用具入れの中にしまっておくことにしました。

「おぉー、やっぱイザとなると緊張するよなぁ…」

少年は、今さらながら、自分の小心者さに気づき、
そのことが気になって、授業など当然うわの空です。

そして、いよいよ最初の休み時間がやってきました。

ところが、少年はここに来ていきなり弱気になります。

「そ、そうじゃ、やっぱ昼休みのほうがいいっしょ、10分じゃ
短かすぎるけん、みどもは育ちがよろしいきにのぉ、したっけ
そういうことで…」

少年は、緊張のあまり、北海道弁と九州弁と土佐弁が
混じり合ったわけのわからない言い訳をして、初めの休み
時間を素通りしました。

「うわっ、ダサっ!」

少年は、我ながら自分の勇気のなさに少し自己嫌悪に
陥りました。

「ううっ、やばい、なんか胃が痛くなってきた…」

そんなら、始めからやるなよーっと自分ツッコミをいれながらも、
時は、刻一刻と過ぎ去っていきます。

端から見たら、その時の少年の態度はかなりキョドっていたに
違いありません。


そして、いよいよ運命の昼休みがやってきました。


授業が終わって、しばらく机にうつ伏せになっていた少年は
迫り来る恐怖と戦いながら、自分にこう言い聞かせました。


「オレは、ロックバンドを組むんだ!

 コージー・パウエルのようなドラマーになるんだ!」


うつ伏せになっていた少年は、意を決したようにスッと顔を
上げました。

「よーし、作戦決行だ!」

そして、そのままお昼も食べずに、掃除用具入れの中の楽器を
取り出すと、クラスのみんなの「なんだコイツ?」という視線を
横目に、スティックケースとスネアドラムを抱えて、教室を
出て行きました。

さすがに廊下で叩くのは、先生に一発で止められそうだったので、
いったん校庭に出て、ちょうど1年生のクラスが並んでいる
教室の目の前の中庭に回り込み、その場所にスネアドラムを
セットしました。

「よーし、ここまできたら、やってやる!
クールに決めないと、逆にめちゃめちゃカッコ悪いからな。」

すぅ〜っと息を吸い込んで、まず一打目を”ダン”と叩きます。

そこからは、まるで堰を切ったように、少年は夢中になって
ドラムを叩き始めました。

時折ドラムロールを混ぜながら、その時の自分の精一杯の
テクニックを披露し始めました。

恥ずかしさもあったので、しばらくうつむき加減で必死に
叩いていく少年…

ようやく、手も温まってきて、かなりリズムに乗れてきました。


そこで、恐る恐る、1年生の教室のある3階付近に目を
やりました。

たのむ、バンドマン!だれか見ていてくれ!


その頃、いきなり中庭から聞こえてきたうるさい音に気づいた
人々が、教室の窓から怪訝そうな顔をしてこちらを見ています。

「げっ!2年や3年の人達まで、こっちみてるよぉー」

そりゃそうです、いくら外だとはいえかなりの音量が出ています。

昼飯時の憩いの時間をぶち壊す、ドラムの音…


「もしかして、オレって顰蹙かってる?」


勇気を持ってやり始めた少年でしたが、上級生がこわーい
顔をしてこちらを睨んでいるのを発見しました。

「げ、やっべー、1年生だけにアピールするつもりだったのに…
あの人が、こっち降りてきて、シメんぞこらぁーって言ってきたり
したらどうしよう。くう、やっぱりちょっとまずかったかなぁ…」

少年は、心の中の動揺を隠すのに精一杯でした。

「でも、ビクビクしてやってたら、それこそ超ダサイよな」

そして、少年はいったん、スダン!と決めを入れ、何事も
なかったかのように、ケースからウォークマンを取り出し、
おもむろにヘッドホンをかけると、大好きなコージー・パウエル
の「オーバー・ザ・トップ」をかけて、再びスネアドラムを
叩き始めました。

「こうなったら、ある意味逆ギレだ!
だれも文句を言えないくらい、こっちがイッテしまえばいいのさ」

少年は、ある種の開き直りともいえる心境に到達し、その後、
多くの人が「なんじゃアイツ?ばかじゃねえの?」と冷ややかな
視線を向ける中、ひたすら曲に合わせて陶酔していきました。

バカです…はっきりいって、バカです…(^_^;

でも、中途半端にしたら、もっとバカです。

やってしまったものは、もう止められません。

覚悟を決めた少年は、休み時間一杯ドラムを叩き続けました。


と…その時です。


目をつぶって、陶酔している少年の肩を、後ろから
「トン、トン」と誰かがたたきました。


「おおっ、きたのか? ええー、もうきたのか?」


少年は、期待と不安に胸をときめかせて目をあけ、
後ろを振り返りました。

 

その時、少年の前に立っていたのは、いったい…

(次回へつづく…)

ドラマー誕生秘話(3)

(前々回からの続きです 第3話めです、すいません長くて…(^_^; )



しかし、受験勉強をしなくてはいけない中3の少年は、
この先、いったいどうなっていくのでしょうか・・・



その時、少年はある決心をします。


 


「よーし、ロックバンドを組むぞ。


 バンドを組むのに手っ取り早いのは、高校に行くんだ。


 高校には、いろんなヤツがやってくるにちがいない!
 
 もちろんオイラがドラムをやるのさ。
 
 そのために練習を重ねてきた。自信はある。


 そう、コージー・パウエルのようなドラマーになるんだ!」



当時、情報があまりなかった時代、少年の稚拙な頭には、
人が集まるところは「学校」だ、という単純な思考パターン
しか思い浮かばなかったのです。
 
 
「・・・あ?…え?


 うげげっ!そのためには高校に入らなきゃだめじゃん!」



 高校に行ってバンドをやる。



それまで勉強を全然やってこなかった少年は、それだけを
モチベーションにして、猛勉強に取り組み、なんとかその後、
めでたく地元の県立高校に入学できたのでした。



ロックバンドをやるんだ!そして学園祭の舞台に立つんだ!


そうすれば、女の子にもモテモテさっ!(そっちかよ)



それだけが目的で、高校へ進学した少年は、さっそく初日から、
同じクラスや他のクラスで、楽器ができる人材を捜し始めます。



とりあえずギター、ギターだよ。これがいなくちゃ話にならない。


リッチー・ブラックモアやジミー・ペイジ、マイケル・シェンカー、
エディ・ヴァンヘイレン、それにスティーブ・ルカサーのような
イカしたギターが弾けるヤツだ!(いるのかよ)



ベース?げっ、ベースって地味じゃん。だれもやってないかも。


いや、そんなことはない。中学生ならまだしも、高校生なんだ
から、バンドの本当の土台を支えるベースの渋さを知っている
ヤツが絶対いるはずだ。



それにキーボード、キーボードにはちょっとうるさいよ、オレ。


なんせシンセオタクだからね。(関係ない)



えーと、あと、ボーカル……えぇ?ボーカル?…


おいおい、ちょっとまて。外人のロック歌手なみの歌をうたえる
ヤツなんて、実際いるのかよぉ…


外人みんな声高いし、それに、高校生があんな風にシャウト
するのは、ちょっと恥ずかしいぞ…


そこまでなりきれるヤツがいるのか?



希望に胸を膨らませて、高校にやってきた少年の心には、
一抹の不安がよぎりました…



そこで、少年はまだ入学早々であるにもかかわらず、密かに
あることを始めるのです。



もし、ボーカルが見つからなかったら、最悪、自分で歌えるように
しておかないといけないよな。


でも、あんな高い声出るのか?…


そもそもドラム叩きながら歌えるのか?…


いやいや、そんなことをいっている場合じゃない。


高橋幸広だって、ドラムやりながら歌ってたじゃないか。


ナイトレンジャー(懐かしー)のボーカルもドラマーじゃん。


いや、スティングみたいにベースが歌うっていうのはどう?


それに、ドラムだってコーラスくらい出来ないとなー。


クイーンのロジャー・テイラーはめっちゃ高い声出すし。


クイーンのコピーするんなら、コーラスは絶対不可欠だ。



そうだ、もう決めたんだ、オレはロックバンドをやるんだ。



でも、自慢じゃないが、小中学生の頃は、音楽の先生に、
声は大きくていいが、その音痴を何とかしろ!といわれていた。


うーん…


よし、練習だ。


なにごとも、練習なしではうまくならない。



その日から、少年は歌の練習を始めました。


しかも、ヘヴィメタですよ、ヘヴィメタ。(笑)


少年の家は、当時マンションだったのですが、大音量のラジカセ
に合わせて部屋で歌っていると、両親は気でも狂ったのか!
といいはじめ。隣近所、というよりマンション全体に響き渡る
その歌声(シャウト)に、すっかりボクは近所の変わり者になって
しまいました。


それからです、近所の人の冷たい視線を感じるようになったのは…



そうこうしている内に、1週間くらい時が流れていきました。



でも、未だにバンドのメンバーは見つかりません…



焦りばかりが募ります…



その時、少年はあることを思いつきます。



おおっ、すっげーいいこと思いついた!


少年は、我ながら自分のアイデアに酔いしれました。



ようし、ほなら明日はこの戦法で、必ずメンバーゲットしたるでぇ!


グズグズしているヒマはないんや、わいは高校にバンドやりに
いっとんねんで!


…と、なぜか関西弁の口調に変わったボクは、明日への決意と
情熱の激しさで、その晩はよく眠れませんでした。



さて、その翌日、少年の取った行動とは…


(次回へつづく…)

ドラマー誕生秘話(2)

(前回からの続きになっています、ここから読む方は
 ぜひ、そちらを先に読んでからお読み下さい)


シンセと格闘していたそんな時、ふと見ると、目の前に
従兄弟のドラムセットが置いてあるではありませんか…


その頃、バンドのドラムは、同じクラスの友達がやっていた
のですが、彼は板についてきた8ビートや、ぎこちない16
ビートを、その時、曲に合わせて練習していました。


それを見ていて、当然自分もやってみたくなりますよね…


それで、「ちょっとやらしてくれ!」という感じで、ドラムセット
に座ってみました。


おおー、なんかいい感じ…


得意の自己暗示をかけます。


「オレは高橋幸広だ…高橋幸広だ…」


まずは、形から入る!(これ、マイ基本)


YMOのドラマー、高橋幸広になりきったボクは、
見よう見まねでドラムを叩いてみました。



すると・・・



あれ?



おおっ!



なにぃー。



ええーっ。



で、できるじゃん!



なんと始めから、曲に合わせて叩けてしまったのです。


これには友達もさすがにビックリ。



「もしかして、オレって天才?」



もともと、なりきり系が上手だったボクは、たぶんその時は
顔の表情まで高橋幸広になりきっていたと思います。(笑)


しかも、いつの間にか叩きながら歌まで歌っている自分…


(まあ、YMOのドラムパターン自体はシンプルで、
 テクニック的には、さほど難しくはなかったのですが)



うっ、やばいかも…マジやばい…


ドラムって、ドラムって、ドラムって、



「ちょー気持ちいい!」(祝!2004年流行語大賞)



もちろん、後から考えればお粗末な叩き方だったのですが、


これが、ボクとドラムとの出会いとなりました。



その後、シンセそっちのけで、ドラムにのめり込んでいくボク…


それからというもの、毎日、毎日、練習をしてました。


すぐにマイスティックも手に入れて、練習、練習。



いつの間にか、友達よりもうまくなってしまい、


最後は、「もう、おまえがドラムやれよ!」といわれる始末。


それくらい、ドラムが大好きになってしまいました。



そんなこんなで、それなりに充実した日々が過ぎ去り、
ボクは中3になって、高校受験の真っ直中に突入していきます。



その頃、そんな自分に危険な誘惑が忍び寄ってきていることを、
ボクは知るよしもなかったのです。



そう、それまでYMO一辺通りだったボクに忍び寄っていたもの…



それは、「ハード・ロック」との出会い…(ああ、危険だ…)



ボクには音楽におけるメンターだった友人がいたのですが、
(彼はかなり早い時期からボクにYMOを教えてくれた)


受験戦争真っ直中の純朴な少年に、彼は、今度は、
なにやら外人のバンドをたくさん紹介してくれたのです。


「レッド・ツェッペリン」
「ディープ・パープル」
「クイーン」
「レインボー」
「TOTO」
「ヴァン・ヘイレン」


今思えば、ポイント押さえていますよねぇ。
みんな伝説のバンドばかりですもん。


ジョン・ボーナム
イアン・ペイス
ロジャー・テイラー
コージー・パウエル
ジェフ・ポーカロ…


ドラマーの名前だけでもすごい事がおわかりになるでしょう。
(すいません、ドラムの内輪ネタで…)


少し系統は違いますが「ポリス」なんかもYMOつながりで
聴き始めました。


ちょうど時代は、日本でもハードロック、ヘヴィ・メタルが
流行しはじめ、和製ヘヴィ・メタルバンドも出始めた時期。


それまで、シンセサイザーが最高!と思っていたボクですが、


ハードなディストーションでメロディアスなサウンドを奏でる
ギター、めっちゃハイトーンでシャウトするボーカル、ラウドで
重厚なドラムサウンド…特にツェッペリンのジョン・ボーナムの
ドラムは、感受性豊かな中学生には危険すぎました。


「うう、マジ、かっこいい。。。」



極めつけは、その友達に誘われて行ったコンサート…
(今考えると、かなり悪友?)


それは…「MSG(マイケルシェンカーグループ)」in武道館!
 ( ああ、これで世代がバレてしまう…(^_^;  )


これは後に「飛翔伝説」として名盤レコードになりました。


その時、そこでドラムを叩いていたのが、知る人ぞ知る
今は亡き、カリスマドラマー、コージー・パウエル!


そういえば、伝説のドラマーって、なんで皆早死にするんだろう。


ジョン・ボーナム、ジェフ・ポーカロ、そしてコージー・パウエル…
ここに挙げただけでも3人もいる。


ボクはジェフ・ポーカロにはTOTOのライブやドラムクリニック
で何度も会っているし、たぶん、コージーが好きなドラマーは
たくさんいると思いますが、それを生で、間近で見られたのは、
今思えば本当に幸運なことだったんだと思う。


その時の興奮は、今でもありありと憶えている。


マーシャルアンプがいくつも壁のように高く積み上げられて、
まるでサーキットのレーシングカーのような轟音を立てて
マイケルのギターがうねりをあげる。


でも、決してうるさいとは思わなかった。
とてもメロディがキレイで繊細なプレイだったから。


初めて見る、重戦車のようなドラムセット、あんなところまで
手が届くのかよ!ってツッコミたくなるくらいたくさん並べられた
シンバル類、後ろにおかれたドでかい丸い物体(ドラ)


ボクシングシューズを履いたウルフカットの男が、まるで
リングにあがったボクサーのように、派手なアクションで
ドラムを叩きまくる。


特に、2つのバスドラムから叩き出されるドドドドド…と
地響きを立ててお腹にくる低音は、今まで見たことも
聴いたこともない世界でした。


さらに、チャイコフスキーの1812年に合わせてのドラムソロ、
最後には、ドドォーーンと花火が上がる!


あぁ、中学生には刺激が強すぎます。


今では、コンサートでは当たり前になったその光景も、
当時はものすごい衝撃を受けたのでした。


それを目の前で見てしまった純朴な少年…


 


時は思春期、感じやすい(影響されやすい)年頃…



このあと、テクノカットの少年が、長髪のウルフカットに
なっていくのは、火を見るよりも明らかでした…



しかし、受験勉強をしなくてはいけない中3の少年は、
この先いったいどうなっていくのでしょうか。



その時、少年はある決心をします。


(次回へつづく…)





飛翔伝説~MSG武道館ライヴ・完全版(CCCD)
飛翔伝説~MSG武道館ライヴ・完全版(CCCD)
これが、かつてボクが行った武道館ライブ。昔を懐かしむのも良し、逆に若い人はあらたな感動を得るのも良し、世代を超えて良いものは良い。70年代、80年代はそんな音楽がたくさんありましたね。

ドラマー誕生秘話(1)

ちょっと、内容がカタくなってきましたので、ここで少し
リラックスして、ちょっとした自序論的なお話をさせても
らおうと思います。


実はボクは今、そうじの力で、ものすごいことが起きちゃうよ!
というプロジェクトのメッセンジャーとして活動をしている
のですが、その前は、ミュージシャン崩れのフリーター崩れの
サラリーマン崩れの…(無限ループ)…にはまりこんだ、
ちょっと(いや、かなり)ドロップアウト系な人間でした。


ボクは中学生の時にバンドを組んで以来、けっこう長いこと
音楽をやってきたんです。


一応、これでもプロのドラマー(太鼓叩き)だったんですよぉ。


ボクの年代はちょうど70〜80年代を小、中、高校生として
過ごした世代なので、先日もお話しましたが、中学生の時に
初めて冨田勲さんやYMOやクラフトワークを聴いて以来、
その当時としてはめちゃくちゃ高価で、大きくて、ゴッツかった
シンセサイザーなるものに、勉強そっちのけで夢中になって
しまったのです。


冨田さんやYMOのライブの写真に写っていた、壁のように
黒くて大きな物体に、コード線がまるでミミズのように這い回っ
ているその姿に、ボクは、なんだか無性にドキドキしたのです。


そんな中、当時中学生だったボクには、高価なシンセサイザー
を買うのはもちろん至難の業でした。でも、どうしてもシンセを
いじってみたくてしょうがない!そこで、学校が休みの日には、
ほぼ毎週秋葉原やお茶の水に行って、シンセが置いてある電気
店や楽器店をハジゴしながら何時間もいじくりまくっていました。


ボクは今でいう、アキバ電脳系のハシリだったのです。(笑)


今でも、シーケンシャルサーキッツ社のプロフィット5や
ムーグ社のミニムーグなどは、プレミアが付くほどの伝説的
シンセですよね。(あの味、知ってる人はわかりますよね!)


プロフィット5などは、当時でも1,700,000円もしました。
中学生に買えるわけがありません…(涙)


その後、なんとか小遣いを一年間貯めて、足らない分を正月の
お年玉と親に補填してもらい、その当時一番値段の安かった
KORG社のMS−10というガンダムのモビルスーツのような
名前の、ほんとに基本的な機能のみしか付いていないシンセ
サイザーを手に入れることに成功しました。(^_^)v


正月休み明けの秋葉原に買いに行って、そのまま抱えて
帰ってきた時は、何ともいえないくらいうれしかったなぁ…


↓そのKORG社のMS−10です。
 ガンダムオタクだったボクはこのシンセに「カミエル専用ゲルググ」と
 いう名前を付けていました(笑)KORGMS-10KORGMS-10f 


(モノフォニック・シンセといって、単音でしか音が出ないので、和音が弾けなかったのです…)


 


でも当時は、ボクの周りでは誰一人シンセを持っている
人はいなかったので、なんだかちょっと自慢げでした。


もちろん、YMOバンドを結成したのはいうまでもありません。


そしてもちろん、テクノカットにしたのもいうまでもありません。
(わかる人にはわかりますよね)


…しかしその後で、重大な事実に気がつきました…


なんとボクは、鍵盤楽器がほとんどできませんでした(爆)


それでも、なんとか猛特訓をして簡単なコードとメロディライン
くらいは弾けるようになったのですが、いかんせんピアノもエレク
トーンもやったことがなかったボクには限界がありました。


でも、そんな状態でも、物珍しさから学校の文化祭や謝恩会
などのイベントにはいつも参加させてもらいました。
今思うと、チョー恥ずかしいって感じですけどね。


初めて舞台に出て、人前で演奏(しかもヘタクソ)する経験は
その後もボクの心を掴んで放しませんでした。


舞台に立って誰かに見てもらうって、なんて気持ちいいんだろう。
そんな舞台の興奮が、しだいにクセになっていきました。


幸い、ボクの家には父親が使用していた資材置き場の倉庫が
あったので、その内部に簡単なプレハブ状の部屋を一つ作って
もらい、そこでバンドの練習をすることができたのです。
今思えば本当に恵まれた環境ですよね。


そこに、従兄弟から借りたドラム(パールのロックンローラー)を
セットして、親戚からもらった古いエレクトーンの上にシンセを
置き、自分の家から持ってきたオーディオ用のアンプと30W
しか出力がないスピーカーをセットして、ちょっとしたスタジオっ
ぽい雰囲気を作り出して悦に入っていました。


でも、ついつい大音量でシンセを鳴らしてしまい、
30Wのスピーカーを何度跳ばしてしまったことか…


シンセと格闘していたそんな時、ふと見ると、目の前に
従兄弟のドラムセットが置いてあるではありませんか…


バンドのメンバーには、クラスの友達がドラムとして一緒に
やっていたのですが、それを見ていて、当然自分もやって
みたくなりますよね。


それで、「ちょっとやってみっか!」という感じで、ドラムセット
に座り、見よう見まねで叩いてみました。



すると・・・
(次回につづく…)







イエロー・マジック・オーケストラ(US版)
イエロー・マジック・オーケストラ(US版)
YMOの記念すべきデビューアルバム、このジャケット衝撃的でした。このジャケットにまず始めにやられちゃいました。ボクとしては日本版のほうが個人的には好きですが、US版は音作りがとても聴きやすいのでこちらもお薦めします。 ソリッドステイトサバイバー


 ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー
YMOの名を世界的に轟かせた名盤中の名盤。テクノポリスやライディーンといった代表的名作を収録したセカンドアルバムで、初期の黄金期を語るファンなら必ず持っておきたい作品ですね。


 


Giga Live
Giga Live
YMOを映像で!という人はぜひこれを見て下さい。草創期からのライブ映像を一通り堪能できます。若い3人とおちゃめな矢野顕子の他、ギターファンには嬉しい渡辺香津美の伝説のギタープレイは、今見ても超興奮ものです!

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Camiel
Camiel(カミエル)
歌って踊れるドラマー系黄金律探求家
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ぜひ、愛する人とご覧下さい!古い映画ですが、テクニックや技法ではなく、本当に名作は素晴らしいと思わせてくれる心温まるストーリーです。

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